僕は魔法兵。名前はまだ無い。
あるダンジョンで主君に倒され、それからイグリット殿とともに、主君のために生きている。
あまり目立つ方ではないんだけど、主君のために、日々強くなる努力をしているんだ。
デビュー戦の雪の世界、初戦ではアイスベアに倒されちゃったけど…
敵のバルカ相手に強烈な一撃も加えることが出来たし、僕頑張ってるでしょ?
そうだ!!!
悪魔の城で、貪欲の玉を借りてた魔法兵、覚えてる?
あれが僕なんだよ!!すごいでしょ!!
持った瞬間、玉から魔力が流れ込んできて…
軽く放ったつもりの一撃ですら、すさまじい威力になったのには、本当に驚いた!!
主君の大切なアイテムの試し打ちを任され、心躍ったのは良い思い出だ。
もう二人の魔法兵では無くて、僕に主君が任せてくれたのは、宿命だよね。
そういえば、アイアンとイグリットの方から、恨めしい視線を感じた気もしたな…
あ、カルガランとの闘いでも、あの強力な盾を破ったんだよ!!
あの時は格上の相手に無我夢中だったけど…
主君から伝わってくるパワーで、いつも以上の力が湧き出てきたんだ。
やっぱり主君の役に立てるって、嬉しいよね。
でも、案の定というか。。
カルガラン、もとい、影の仲間となったキバさん。
同じ魔法系の力を使うけど、影になっても、僕よりはるかに強い。
これまでは僕が貪欲の玉を使わせてもらっていたけど…
今度からはキバさんが使うことになるのかと思うと、ちょっと寂しいな。。
それでも、頼れるリーダーがいるのは、嬉しいもので。
新しい魔術を教えてもらったり、キバさんには可愛がってもらってるよ。
最近は盾を練習中!!
そんな主君とともに過ごす幸せな日常の、とある日のこと。
主君は悪魔の城に向かうために、新しい装備を手に入れようとしているみたい。
パソコンを使って、装備品を調べている。
見たこともないアイテムが並んでいて、なんとも楽しい!!
でも、主君が言うには、値段もものすごくかかるみたいだ。
あれならハイオークさん達と協力したら、僕たちでも作れんじゃないかな。。
う~~ん。主君に伝えられないのがもどかしい。
*
旬「アイテムたかいなぁ…賢太とのレイドでだいぶ稼げたと思ってたけど、とても足りないぞ。貪欲の玉を売れば、炎を防ぐアイテム買えるかな」
*
…!!今、主君、なんて言った????????
え??売る??何を??貪欲の玉を????????
いやいやいやいやいやいや、何を言っているのですか????????????
あんなアイテム、ちょっとハイオークさん達でもきっと作れますよ????????
*
プルルルルル
旬「もしもし、ハンターオークションさんですか?実は売りたいアイテムがあるのです。魔法効果を2倍にするもので…。えぇ。えぇ、はい。一度、鑑定してもらえますか?」
*
ちょ、おぉぉぉぉぉぉぉい!!!!だめですよ、主君!!!!!!
え、ほんとに売るつもり??キバさんがあれを使ったら、どれだけすごい技が繰り出せるか分かってます??
僕ですらキバさんの盾を破るほどの威力の技を放てるんですよ??
「ちょ!!キバさん!!主君を止めて!!!!!」
キバ「いや、わい、しゃべれないし。。まだ主君ともそこまで親しくないしな。。」
「いや!!ダンジョンでの強気な一面はどこにいったんですか!!あぁ、もう!!」
「イグリット殿、なんとか主君を止めて頂けませぬか??」
イグ「…。」無言で首を横に振る。
「あーーーー!!もう!!マジックアイテムは自分に関係ないからって、面倒だからって、諦めないでくださいよ~~~(TT)」
「そうだ!!アイアンさん!! もと人間ですよね!!主君に売ってはダメだと伝えて下さい!!」
アイアン「え、高く売れるなら良いじゃん!みんなのアイテム買ってくれるかも!!おねだりしよーよ!!」
(…これだから単純なバカは)
アイアン「あ!!今お前、俺の悪口言っただろ!!」
超鈍感なのに、変なところに敏感なアイアン。
生前から使っていた武器を振りかぶり、魔法兵を叩こうとする。
「あ、ちょ、何も言ってないじゃないっすか!!イテッ!!やめてくださいよ!!」
*
旬「よし、時間もないし、さっそくハンターオークションに行ってこよう。」
*
「あ、こんなことしてる間に、主君、出かけてる!!誰か、止めて~~~~~~~」
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つづく。
こちらはピッコマ配信中のハンターオークションの章を読んで、mizが想像力を膨らませて書いた、二次創作です。
苦手な方は閲覧をお避け下さいませ。
お目汚し、失礼します。